(2024/11/18 12:00)
テクノア(岐阜市、山﨑耕治社長)は、多品種少量生産の中小製造業向け生産管理ソフトウエア「TECHS(テックス)」の販売本数が業界首位。受発注管理システムやITコンサルティングに事業領域を広げ、人工知能(AI)による類似図面検索システム、IoT(モノのインターネット)用のAIカメラなども提供する。生成AIの社内での活用にも積極的に取り組んでいる。
米オープンAIが生成AI「チャットGPT」を2022年11月に発売し話題になった。テクノアもシステム会社として新技術への理解は不可欠と、いち早く導入した。しかし導入半年後も利用率は全社で10%、開発本部で30%だった。「使い方が分からない」「アカウント作成や決済にハードルが高い」などの声があった。
そこで開発本部開発革新室の長谷川俊室長を中心に活用推進のプロジェクトチームを23年9月に組んだ。任意参加のメンバーは約20人。環境作りとして全社員向けのチャットGPT活用サイトを同年11月に立ち上げた。各種のひな型データも用意。各自の画面のカスタマイズ(個別対応)も可能にした。
オープンAI製以外を含め人気の最新生成AIも順次導入している。議事録作成や総務・経理への問い合わせなど特定用途の生成AIツールも作成。24年6月には利用率が全社で58%、開発本部で89%に上昇。全社で月に延べ1500時間の作業を効率化できた。
部署別ツールも作成する。サポートセンター用も7月に運用を始めた。類似の応答事例を即検索でき「お客さまを待たせなくなった」「経験の浅いスタッフもすぐ回答ができる」と好評だ。
機運を盛り上げる社内のアイデアコンテスト「生成AIチャレンジカップ」も開いた。使い方のミニ講習会も開き、5月からの募集に20チームがエントリーした。9月の審査・発表会では新マニュアルの更新部分を明示するアイデアが優勝した。「チャレンジカップをきっかけに使い始めた社員もいる。活用アイデアは職場で話題になり、チームへの問い合わせもあった」と長谷川室長は手応えを感じている。
長谷川室長は「システム会社として話題の生成AIを製品にどう載せるかは研究中」としつつ「社内普及の方がインパクトは大きい」と話す。当面は慣れ親しんでもらうことを重視。「いずれはシステム開発の全工程で活用できる状態にしたい」(長谷川室長)と展望する。
(2024/11/18 12:00)
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