(2024/12/3 12:00)
カシオ計算機が人的資本経営を強化している。社員が力を最大限発揮するための健康経営推進や、多様な人材が活躍できる職場環境を構築するマネジメント能力の強化といった取り組みを進める。中でも、カシオが独自に作成した「ベビ育ブック」は、当事者以外も出産や育児について考え、理解を深められるのが特徴。男性の育児休業取得率向上や社員の多様性を育むツールとして一役買っている。
人的資本経営を打ち出し、健康経営やデジタル変革(DX)人材の育成、マネジメント強化などを掲げる中で「多様な価値観を持った方が働きやすい環境を整備することが当社がさらに一歩進んでいくために必要な要素。出産育児のガイドラインも刷新し、上司、同僚、部下含めて多くの人に知ってもらう必要がある」と、高橋英史人事部長は説明する。
もともとあった出産育児マニュアルは女性社員にフォーカスし、手続きの仕方などが主な内容だったという。2023年4月に発行したベビ育ブックを作成する際、特に注意したのが「表現」だ。子どもを迎えるまでのさまざまなケースを想定し、妊娠出産だけでなく養子縁組の項目を盛り込んだ。「読んだ人が悲しい気持ちにならないよう、言葉一つひとつに配慮した」(高橋人事部長)。
また、体験談を数多く紹介している。実際にベビ育ブックを活用した開発本部デザイン開発統轄部第一デザイン部BGデザイン室の畠山彩香さんは「周囲に妊娠中の友人がおらず体験談を聞く機会がなかった。復帰後のことも想像できたのですごくありがたかった」と振り返る。
妊娠出産者やパートナー、養親、管理職、それぞれの立場にとって重要な項目を見やすく記載。畠山さんの上司である樋口貴康室長は「産休代替派遣社員にもクリアに説明でき、こうした資料があるのは心強い」と話し、フォロー体制も組みやすかったという。
管理職の中には「よく知らないから関わりづらい」「自分の言動がパワハラやセクハラになるのでは」と不安視する人も多い。高橋人事部長は「さまざまな事情を抱えた人が部下になる可能性がある。仕事上だけでなく、いろんな人とコミュニケーションする上で役立つ内容になっている」と、ベビ育ブックの副次的な効果を語る。
マネジメント層の理解が深まったことで、男性の育児休業取得時も円滑なコミュニケーションにつながっている。今後は当事者や管理職以外も積極的に読んでもらえるよう取り組んでいく。
(2024/12/3 12:00)
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