[ オピニオン ]
(2017/9/27 05:00)
臨時国会の開幕前に安倍晋三首相が衆議院解散を発表し、政界は総選挙モードに突入した。このあおりで宙に浮いてしまったのが目玉政策のはずの「働き方改革」。
厚生労働省は、労働基準法や労働者派遣法など七つの関連法規をまとめて改正する法案を準備してきた。しかし与党調整の段階で解散風が吹き始め、閣議決定にも届かずにダウン。同省幹部は「官僚が口を出すことではないが…」と言葉を濁す。
この事態でも産業界が労使とも平静なのは興味深い。罰則つきの残業時間制限や、逆に残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」導入など、今回の改革は急進的ともいえる内容を含む。「早く成立を」という声が聞こえてこないのは、待望する部分と避けたい部分が混在しているからか。
首相は基礎的財政収支の黒字化目標を先送りし、消費税の増税分を使う新政策「人づくり革命」に取り組むことを表明。政策変更の信を国民に問う。いきなりの方向転換に、厚労省内も慌ただしさが増す。
企業は人手不足に直面し、長時間残業や育児・介護との両立に悩む従業員も少なくない。総選挙後には実効性のある働き方改革が必要だ。プレミアムフライデーのような、かけ声倒れにはしてほしくない。
(2017/9/27 05:00)