[ オピニオン ]
(2017/11/24 05:00)
第55回技能五輪全国大会が24日に栃木県で開幕する。27日までの4日間、23歳以下の若手技能者たちの熱い戦いが繰り広げられる。今年もモノづくり日本の将来を担う若者たちの奮闘を期待したい。
先月、アラブ首長国連邦のアブダビで開かれた「第44回技能五輪国際大会」で、日本勢の金メダルは3個にとどまった。日本が金5個を下回ったのは2001年の韓国ソウル大会以来。国際大会が「CNC旋盤」「CNCフライス盤」などデジタル技術で競うのに対し、国内大会では汎用旋盤やフライス盤で競うことも影響している。
製造現場では技能のデジタル化が進むが、大手精密機械メーカーの生産ライン責任者は「どんなに製造工程を自動化しても熟練技能者の感性を完全に置き換えられない」という。受注・材料変更での治具・金型の微調整、季節や天候の変化に応じた処理時間や熱の調整といったモノづくり現場ではアナログ的技能が欠かせない。
技能五輪全国大会は、1963年の初開催から28回までは東京都と千葉県が主会場だった。しかし90年代以降、全国各地で開く地方開催方式を進めている。当時の中央職業能力開発協会会長の「技能の面白さを全国の若者や子どもたちに知ってほしい」という発案からである。
今回、栃木県は大会期間中に県内4校の小学生と9校の高校生を対象に大会見学バスツアーを企画した。若手技能者の競技を間近に見ることで、モノづくりに興味を持たせることが狙いだという。
技能五輪の常連である日立製作所。「やせても枯れてもモノづくり」が信念だった創業者・小平浪平は、現栃木市出身である。今年10月、栃木商工会議所は同氏の生家保存と顕彰活動を目的に「小平浪平翁記念会」を発足させた。
モノづくりに欠かせない「木型」や「曲げ板金」「抜き型」「精密機器組立て」も、もはや国内大会でしか見られない。モノづくり、アナログ技能を守ることの大切さを栃木技能五輪会場で感じ取ってほしい。
(2017/11/24 05:00)
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