(2021/10/4 05:00)
戦後約30年を経てフィリピンのルバング島から帰還した旧陸軍少尉の小野田寛郎さん。ジャングルでの壮絶な体験を描いた映画『ONODA一万夜を越えて』(配給エレファントハウス)が8日から公開になる。
高度経済成長期の1974年、ピカピカの銃を手にした直立不動の日本兵が突如出現し、子どもながらに強烈な衝撃を受けた。社会はたくましい生命力への敬意と、ねぎらいの気持ちであふれていたように思う。
比日友好に配慮し封印された事実がある。小野田さんだけでなく、島民も残留日本兵の恐怖におびえる30年を過ごした。実際に肉親を殺され略奪に遭うこともあったが、そうした報道は少なかった。
小野田さんに感情移入しすぎては真実に近づけない。フランス人監督アルチュール・アラリさんは、小野田さんを一歩引いて見られるよう脚本初稿で「小野田さんの暴力シーンを少し強調した」とインタビューで述べている。
島には「オノダトレール」という登山道が整備され、潜伏した洞窟が観光名所になっている。島民の悲劇は沈黙を強いられたまま忘れ去られてしまうのか。上官の命は人を狂気にする。軍隊とはかくも非情なものかと今更ながら思い知る。
(2021/10/4 05:00)
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