(2024/2/5 12:00)
エフピコがロボットの活用を広げている。生産や物流、リサイクルの各部門で、ロボットや無人搬送車(AGV)を組み合わせた自動化システムの導入を進める。狙いは女性や高齢者ら誰にでも働きやすい作業環境をつくることや、夜間や休日の無人操業の可能性を探ることにある。
広島県福山市の臨海地区に立地する福山選別センター。中国・四国地方、一部は九州のスーパーから回収した食品トレーをリサイクルするための仕分け作業が行われている。
仕分けラインは、通常の食品トレーに使われるポリスチレン容器と、ペットボトルや容器のふたに使われる透明樹脂とに分かれる。主に知的障がいを持つグループ会社従業員の手で、色付きトレーや、汚れてリサイクルに向かない容器を取り除く作業が行われる。
4本ある透明樹脂選別ラインの1本に2022年2月に導入されたのが、人工知能(AI)を使ったロボット選別システムだ。コンベヤーに流れてくる容器をカメラで撮影し、汚れたり一定の大きさ以上のシールが貼ってあったりするものをAIが判別。2台のパラレルリンクロボットがコンベヤーから取り除く。ロボットは安川電機製で、同社のグループ会社がシステム化した。
「透明容器の回収ニーズがかなりあるが、キャパが苦しいので断っている。夜間や休日にも稼働させるにはロボットしかない」と、エフピコの兼田英寿執行役員リサイクル統括部ジェネラルマネージャー。容器回収拠点はポリスチレン容器向けが全国1万600店舗にある一方、透明容器は約5600店舗にとどまる。透明容器のリサイクル拡大が課題といえる。
ただ、このロボットの稼働状況を見ていると、容器を落とすなどして時折止まる。またロボットの下流に作業者が1人、常時付いている。透明樹脂を種類ごとに仕分ける赤外線選別機に投入しやすいよう、コンベヤー上の容器の向きを整えるためだ。
取り除くべき容器を取り除くピック率は約90%。汚れで滑ったりさまざまな形のものをうまく吸着できなかったりするため。ピックするスピードは人手に比べて約10%遅い。容器の向きを整える作業にも、本来は人手をかけたくないところだ。
エフピコは同様の選別センターを、福山を含めて全国9カ所に構える。うち透明容器の選別を行うのは6カ所。兼田執行役員は「本当なら人の1・5倍、最低でも人と同様の処理能力がないと。現在改良機の開発を進めており、想定通りのものができたら全ての選別センターに導入したい」と力を込める。残る3カ所のセンターでも透明容器の選別を始めたい意向だ。
エフピコは生産部門でも、原料となるポリスチレンペーパーの原反ロールの供給や、できあがった容器の梱包(こんぽう)などにロボットやAGVを活用する。この原反供給システムは「既存工場にも導入できるよう、小型化したものを開発中」(安田和之社長)とか。作業環境の改善で、人手不足への対策とする考えだ。
(2024/2/5 12:00)
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