ケイ・エス・エム、医療機関向けに無人搬送ロボ 歯科医院で器具搬送

(2024/5/20 12:00)

プラスチック金型製造を主力とするケイ・エス・エム(福島県郡山市、佐藤伊知郎社長)。手術器械の設計・製造などのメディカル事業、各種商品の販売事業へと業務の幅を拡大させる中、成長分野の柱の一つに据えるのが医療機関向けの無人搬送ロボットだ。

  • 平沢歯科では自動搬送ロボットを治療器具などの搬送に利用している

同社は2022年から中国プードゥ・ロボティクス製の配膳ロボットを取り扱い、全国の飲食店や旅館、サービス業などで25台以上の納入実績がある。一方で医療機器の共同開発で培ったノウハウや人的ネットワークを持つことから、配膳ロボットでの協力企業経由で、歯科医院内での搬送用に使えないかという相談が寄せられた。

そこでロボットの基本機能を生かしつつ、搬送先のボタンを押すだけで治療の終わった機器を消毒室に運んだり、カルテを運んだりできるようにした。スマートフォンを使ってロボットの移動距離やタスクの実行回数、作業時間も確認できる。

搬送中にカルテの内容などが見えないようセキュリティーにも配慮し、搬送品を載せる棚の部分には提携先であるサカセ化学工業(福井市)の医療用キャビネットも取り付け可能。ロボット正面のディスプレーには歯科医院のロゴやお知らせも表示できる。

こうして23年4月には平沢歯科(神奈川県秦野市)が搬送ロボットの第1号を導入。さらに平沢歯科の会員制交流サイト(SNS)での書き込みが次の顧客を呼び込むことになる。医療法人社団絆尚会が運営する尾島デンタルクリニック(群馬県太田市)と足利おとなこども歯科・矯正歯科(栃木県足利市)で各1台の運用につながった。

ケイ・エス・エムの佐藤社長は「歯科医院に比べ、病院はまだハードルが高い」としながら、医療機関に対してもこのロボットを提案中。さらに「人手不足が深刻化する中、飲食店や工場に限らず省人化を進めたいという声は強い。その際の決め手となるのはコスト」と話し、価格競争力の高さを売り物に市場開拓を進める方針だ。

(2024/5/20 12:00)

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