(2024/6/6 05:00)
「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」と題する小説では、出生率が異常に低下した架空の共和国「ギレアデ」が描かれる。女性は仕事や家族を奪われ、文字を読むことすら禁止され、出産のためだけの暮らしを強いられる。
米国ではドラマ化もされ話題を呼んだ。背筋が凍るような恐怖を覚えたのは、架空とは思えないリアリティーがあるからだ。
日本の合計特殊出生率は2023年に過去最低を更新した。5日に発表された厚生労働省の人口動態統計調査によると低下は8年連続で1・20となった。「静かなる有事」とされる少子化を前に、この先も社会機能を維持できるか瀬戸際にある。
少子化対策を抜本的に強化するための財源確保を盛り込んだ法案が5日、参院本会議で可決、成立した。法案審議の過程では、税ではなく医療保険料と合わせて徴収する支援金制度に対する批判はあった。だが社会全体で子育て世帯を支える意義そのものに異論を唱える声は聞かれなかった。
少子化の裏には子育てに伴う経済的な負担だけでなく、個人の価値観や理想の人生設計を阻む要因が複雑に絡み合う。政府の誘導だけで事は解決するだろうか。まずは政策の効果を見極めたいと思う。
(2024/6/6 05:00)
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