産業春秋／岸田首相、外交で支持率回復を狙う？

岸田文雄首相は低迷する内閣支持率を外交で浮揚させられるだろうか。首相は１０―１４日の日程で米国とドイツを訪れ、続く１６―１８日には都内で開く「太平洋・島サミット」に臨む日程が予定されている。

米国では北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）首脳会議に出席。欧州とインド太平洋の安全保障は不可分と訴え、国際秩序維持に向けた決意を表明するとみられる。ドイツではショルツ首相と会談し経済安全保障分野での協力を打ち出す。

太平洋・島サミットには太平洋の１８カ国・地域の首脳らが参加。太平洋島しょ国は米中覇権争いの前線で、中国は２０２２年にソロモン諸島と安全保障協力を結ぶなど同地域での存在感を高めている。

日本は気候変動対策などで太平洋島しょ国への支援を推進し、同地域の取り込みに力を入れる中国をけん制する。日米の安全保障につなげ、中国海軍の拠点作りを抑止したい。

岸田首相は２３年に日韓関係の改善やウクライナ電撃訪問、先進７カ国（Ｇ７）広島サミットへのゼレンスキー大統領の対面参加などを実現させた。９月の自民党総裁選を見据え、外交で支持率回復となるのか。自民党が東京都議補欠選挙で２勝６敗と負け越したのが気がかりだ。