1000品目からのピッキング効率化 ショーワグローブ、動線工夫で作業時間短縮

(2024/7/11 12:00)

家庭用・産業用手袋を展開するショーワグローブ(兵庫県姫路市、星野達也社長)は、物流の最適化に向けた継続的な取り組みで「物流の2024年問題」に対応する。国内の物流拠点の分散や倉庫内の作業動線の改善などを進めている。「リードタイムを短縮し、物流サービスの品質向上」(西山聡管理本部ロジスティクス部長)を追求する。

  • 三木物流センターでは多品種を混載して出荷する「バラ出荷」も行っている

ショーワグローブが手がける手袋は1500種類以上に及ぶ。国内の流通では、60―240双の手袋を詰めたケースを、1日当たり約7000箱の規模で全国の販売店や代理店に出荷している。

21年に新たな拠点を福岡市に設置し、中核拠点の三木物流センター(兵庫県三木市)と宇都宮市、札幌市の拠点を合わせて国内4拠点体制を構築。倉庫から各販売店への輸送距離の短縮を図った。

従来は九州南部への配送に3日かかったが、これを2日に短縮するなど配送の効率化が進んだ。物流会社への配送依頼の地理的な集中を防ぎ、ドライバーが確保しやすくなる体制に改善した。

拠点の分散化は事業継続計画(BCP)対策でもある。長距離輸送を回避し、販売店への配送を地域内で完結させることで、災害による物流の寸断リスクを低減した。

  • 中核拠点の三木物流センター

荷役作業の効率化にも注力してきた。三木物流センターでは、一品種をまとめた「ケース輸送」のほか、多品種を混載して出荷する「バラ出荷」も行っている。バラ出荷では約1000品目からのピッキングが必要となり、作業者の負担軽減や作業の効率化が肝となる。

そこで、23年から品目ごとの出荷頻度の調査を開始した。収集したデータを活用して、荷役作業エリアの近くにピッキング頻度の高い製品在庫を配置。作業者の動線を工夫したことで作業時間が短縮され、作業効率は10%ほど上がった。

現在は海外のグループ企業を含めたサプライチェーン(供給網)の最適化を進めている。ショーワグローブは国内外で製造・販売を手がけるが、海外で生産した製品を国内で販売することによる物流量は多い。グローバルな物流網を形成する中、「物流の最適化を図る上でサプライチェーンの管理に重きを置いている」(同)。

すでにグループ全体の在庫基準の統一化や販売計画の改善に着手しており、全体最適に向けて動き出した。荷主企業として社内体制を刷新し、製品を顧客に届ける物流部門の最適化につなげていく。

(2024/7/11 12:00)

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