産業春秋/鉄は日中友好の象徴だった

(2024/7/25 05:00)

日本製鉄が、中国・宝山鋼鉄との自動車鋼板の合弁事業を解消する。中国で電気自動車(EV)が普及する中、供給先の日系自動車メーカーが苦戦を強いられ、事業の見直しに至ったという。「宝山製鉄所」は日本製鉄の技術協力により完成し、日中友好の象徴として知られる。

日中国交正常化から5年後の1977年、中国政府が当時の新日本製鉄に製鉄所の建設協力を要請。78年に来日した鄧小平副首相は君津の製鉄所を視察し、「同じ製鉄所を建設してほしい」と要望したという。

鄧小平氏の改革開放政策により日中の絆は深まり、宝山製鉄所は85年に完成した。その後、この製鉄所は山崎豊子氏の小説「大地の子」のモデルにもなった。

鄧小平時代の改革開放路線から決別した習近平国家主席。改革開放による経済格差の拡大を許さない習政権の「共同富裕」は、非効率な国有企業を優遇し、産業の活力を奪った。足元はデフレへの瀬戸際にある。

国交正常化後、日中はイデオロギーを超えて経済で協調し、中国は高成長を遂げてきた。だが尖閣諸島や米中対立が日中間の溝を深める。安全保障を除く分野で両国の信頼を醸成し、再び互恵の関係を築けないか、模索したい。

(2024/7/25 05:00)

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