圏央道沿いに冷蔵倉庫整備 ヨコレイ、低温流通を広域・省人化

(2024/8/8 12:00)

ヨコレイは冷蔵倉庫事業で配送センター機能を併せ持つ、複合型マルチ物流サービスを展開している。冷蔵倉庫は冷蔵・冷凍が不可欠な食品・食材を生産地から消費者に供給するコールドチェーン(低温流通)の要。入庫から保管、出庫まで規定の冷蔵・冷凍温度を保ち、必要な時に必要な量の食品・食材を、加工食品メーカーや小売店に届けて人々の生活を支えている。

  • 「関東圏60Rim構想」の最終形(7カ所目)として完成したちばリサーチパーク物流センター

2023年3月、ヨコレイは千葉市若葉区に冷蔵倉庫「ちばリサーチパーク物流センター」を稼働した。収容能力は3万トン強。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)沿いに建設してきた既存の6カ所・約14万トンの冷蔵倉庫と合わせて収容能力は17万トン余りになる。大消費地である首都圏を囲み、北関東までをカバーする広域物流ネットワークを整えた。

圏央道は東京都心に流入する自動車交通を適切に分散するため、東京60キロメートル圏を環状に結ぶ高規格幹線道路として計画され、1996年に東京都青梅市뗙埼玉県鶴ケ島市間が部分開通。ヨコレイは99年に、その東側の埼玉県加須市に加須物流センターを稼働し、圏央道を物流インフラとして最大限に生かす「関東圏60Rim構想」を立案した。圏央道整備に合わせて拠点を建設し構想立案から約四半世紀、ちばリサーチパーク物流センターで完成形となった。

  • 荷下ろし後、コンベヤーで自動搬送してパレットに積み上げ、フィルム梱包まで無人化するDPS

圏央道整備は交通渋滞緩和が目的だったが、それをより有効に活用していくことが「物流の2024年問題」の解消につながる。同社は冷蔵倉庫に搬入・搬出車両の待機時間を短縮できるトラック予約受け付けシステムや、庫内のフォークリフト作業と電動式移動ラックが連動するカーゴナビゲーションシステムなどを導入し、省力・省人化を進めてきた。

さらに、ちばリサーチパーク物流センターはロボットによる「デバンパレタイズシステム(DPS)」で、荷下ろし後の物品の搬送からパレットへの積み上げ、フィルム梱包までの一連の作業を自動化。DPSにより従来の半分以下の人員での作業が可能となった。

古瀬健児社長は「運送業の時間外労働時間規制(物流の2024年問題)で避けられない輸送能力の減少に対応するサービスを提供していく。当社が実際に物を運ぶわけではないが、最新鋭のマテリアルハンドリング機器で庫内作業の効率化を徹底し、荷主や流通業者から選ばれるセンター(冷蔵倉庫)になる」と話す。荷主の食品メーカーや運送業者との連携が、対処策になるのは間違いない。

(2024/8/8 12:00)

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