(2024/10/22 12:00)
私だからできることで、従業員の気持ちに寄り添う뗙との思いが間瀬有実子社長の言葉の端々からにじみ出る。間瀬社長が率いる丸五製綱所(愛知県蒲郡市)と麻生(同)には合わせて31人の従業員がおり、そのうち22人を女性が占める。多くは育児にも忙しいお母さんたちで、女性のための特別な制度はないが、日々の会話の中から、皆の考えを吸い上げるように心がけている。制度化することよりも、日々のコミュニケーションから働きやすさを作り出す。
間瀬社長が先代の父親から引き継いだのは2020年のこと。丸五製綱所は1922年創業のロープメーカー。漁業向けに使用されることが多い。兄弟会社の麻生は86年創業でスポーツネットなどを手がける。繊維ロープ生産では全国シェアの40%を占める地場産業にあって初の女性社長だ。
「女性だから業界組合などの会合では周りに気を遣わせているかも」という間瀬社長は社内では女性を特別扱いしない。「先代は初めて外国籍の女性従業員を採用したこともあって何かと気を遣っていたようだけど」。先代社長が昼食会などを催したのに対して、間瀬社長が食事会を開催したことはない。
「制度も重要だけど、彼女たちにとってうれしいことを実践したい」と間瀬社長は話す。例えば稼働日の昼食時にキッチンカーを工場に呼んで従業員の昼食に使ってもらうのもその一つ。費用は会社負担だが、こうした場合は従業員の経済負担軽減を狙いとするのが普通。間瀬社長は「育児があるお母さん従業員にとって、朝は自分のことに割く時間は少ないから」と話す。子どもの通園、通学準備で自分の弁当づくりもままならない。「朝の時間にゆとりを持ってもらいたい」と狙いを明かす。
会社のロゴ入りユニホームはユニクロ製でTシャツ、ポロシャツ、トレーナーの3種類を用意した。「家事で着替えるゆとりもないお母さんにとって会社のユニホームでスーパーマーケットにいけたらうれしいはず」と間瀬社長がこだわったデザインだ。お母さん従業員3人がユニホームのポロシャツで授業参観に行ったところ「どこのブランドですか。はやっているの」と話しかけられたことも。
「上は76歳のベテランから下は21歳の若者までいる。女性だからといって特に配慮することもない」と間瀬社長はベテラン男性社員に気さくに話しかける。2年前に作った網を製作する作業場には高給ブランドティファニーのブランドカラーを配した。「これで少しはモチベーションが上がるはず」と茶目っ気も見せる。高齢者、若手、外国籍。中小企業だからこそ多様な人材が在籍する。いずれも分け隔てないトップの姿勢が社内に行き届く。
(2024/10/22 12:00)
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