(2024/10/31 05:00)
結婚後も、夫婦がともに旧姓を選べる「選択的夫婦別姓」制度。国連の女性差別撤廃委員会は29日に最終見解をまとめ、日本も同制度を導入するよう勧告した。2003年から数えて4回目となる勧告で、日本側の対応の遅さも批判した。
林芳正官房長官は30日の会見で、国民の意見や国会の議論を踏まえ「適切に対応する」と語った。主要国で未導入は日本だけであり、経団連も6月に早期導入を政府に求めている。導入に向けた議論を急ぎたい。
同制度は公明党のほか立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組の各党が賛成し、日本維新の会は旧姓使用に法的効力を与える制度の創設を求める。自民党は伝統的家族観を重視する党内の反発もあり、見解がまとまっていない。
国連は1979年に女性差別撤廃条約を採択し、日本は85年に批准。96年に法制審議会(法相の諮問機関)が制度の導入を答申したものの国会に提出されず、28年が経過している。国連が対応の遅さを批判するのも当然と言える。
同制度はあくまで選択制で、これまで通り結婚後に同姓とすることも可能だ。女性活躍を推進する政策との整合性を図る上でも、改姓による不利益を女性が被(こうむ)ってはならない。
(2024/10/31 05:00)