(2024/11/5 17:00)
東京大学の鈴木庸平准教授らは、深海底の熱水噴出孔から採取した原始的古細菌の生態を明らかにした。南部マリアナトラフを調査し、金属硫化物が固体として沈殿した黄銅鉱の内部で二酸化ケイ素が詰まった網目状の隙間に密集した微生物を発見。微生物の全遺伝情報(ゲノム)やたんぱく質を解析すると、周囲の鉱物の働きを利用して自力で合成できない物質を入手することを見いだした。生命誕生の謎に迫る研究が進むと期待される。
慶応義塾大学や理化学研究所、広島大学、高輝度光科学研究センターとの共同研究。成果は5日、国際微生物生態学会が出版する国際科学誌電子版に掲載された。
海底で採取した金属硫化物の試料を大型放射光施設「スプリング8」と赤外分光法で分析。微生物が二酸化ケイ素で充填された試料の内壁全体にある隙間に分布することが分かった。発見した微生物を調べると、ゲノム中にはアミノ酸や脂質などの合成に関わる遺伝子が欠如することが分かった。
発酵でエネルギーを生成する遺伝子がたんぱく質レベルで発現しており、他の生物と共生せずに単独で生きていることが示された。代謝に必要な物質の供給は、岩石の構成鉱物である黄銅鉱と二酸化ケイ素から得ている可能性を見いだした。
原始的古細菌は、生命進化の最初期に誕生したと考えられている。ただゲノムや細胞の大きさが小さく、生命維持に必要なアミノ酸や脂質などを合成する能力を欠く。そのため、どのように増殖するかが分かっていなかった。
(2024/11/5 17:00)
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