(2024/11/19 12:00)
石川工場(東京都江東区)は1897年(明30)に創業者の石川平蔵氏が発明した撹拌擂潰(らいかい)機が今も主力製品。杵(きね)が回転しながら公転・自転する複雑な動きにより、材料を均一に混ぜ合わせてすりつぶす。ソニー出身で、同製品の進化・普及に取り組む平野隆康氏に話を聞いた。
―仕事の内容を教えて下さい。
「石川式撹拌擂潰機は将来も通用する優れた機械だ。だが知名度がなく、新製品を開発する機能やビジネスを拡大するための仕組みがなかった。これを解決するため、2019年に私が入社した」
―具体的な取り組みは。
「事業再構築補助金を使い、約6000万円を投じて工場の倉庫だったスペースを実験室に刷新した。さまざまな計測器や実験装置を導入し、超小型や卓上型といった企業の研究開発部門向けの新製品5機種を発売した」
「自社ホームページのサーチエンジン最適化(SEO)や、全固体電池の試作・評価などの実験結果の掲載、ユーチューブによる製品動画紹介を始めた。顧客に実験してもらい、購入に結びつける活動も進めている。来社数は22年が24社、23年は32社、24年は10月で34社と増え、その6割が購入している」
―ソニーで最も印象的だったことは。
「初代ベータマックステープの開発などもあるが、3・5インチフロッピーディスクの商品化が大きい。ソニーが得意とするオーディオやビデオと違い、データの世界。その後にデータストレージ事業参入を会社に提案するなど、私自身の人生も大きく変わった」
―50年に上る会社人生で大切にしていることは何ですか。
「『思考の濃縮』という考え方だ。ソニー時代に『これまでの人生で学んだ原理原則を3カ月後に話せ』という課題を上司から出され、考え抜いて発表した。突き詰めて考えれば本質が分かるという教えで、製品開発にも通じると信じている」
(2024/11/19 12:00)
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