モーター・パワー半導体、設計から改善 三菱電機コンポーネント製造技術センター長・吉村裕司氏に聞く

(2024/5/29 12:00)

三菱電機のコンポーネント製造技術センター(兵庫県尼崎市)は、高効率モーターや省エネルギーのパワー半導体など同社が強みとする基盤技術を開発から量産まで支援する。性能や品質が向上するようモノづくりの課題を設計段階から早期に改善し、最終製品の競争力に寄与している。4月1日付で着任した吉村裕司センター長に抱負を聞いた。

―センターに求められる使命は。

「モーターやパワー半導体、さらにそれらを組み合わせた技術を設計からしっかり改善し、最終製品に組み込み良品として量産できるよう技術力を強くする。生産の段階でも低炭素化や省エネなどの難題を解決する技術の開発を担う」

―最新の製品事例でも同センターが技量を発揮しています。

「電気自動車(EV)などが採用するパワー半導体では金属のハンダで冷却器と接合し、従来の有機放熱材料に比べ熱抵抗とサイズを大幅に低減した。回転子にレアアース(希土類)が不要な高効率モーターでも複雑な鉄心形状を成形し組み立てる技術を導入した」

―自身の経歴は。

「入社後に生産技術センターの量産化技術推進部に配属され、モノづくりを長く担ってきた。前職でも熊本でパワーデバイス製作所ウエハ製造管理部長を務め、モノづくりの課題と向き合っている」

―課題にはどのような事例がありますか。

「モーターでは高速・精密化で技術革新してきたが、異なる種類を標準化し合理化する余地はある。パワー半導体は原料の炭化ケイ素(SiC)が高価なので、原料のロスを減らさないといけない」

―事業推進の方針と人材育成の考えは。

「チャレンジ精神と変化する市場の理解、当社が評価される技術的な立脚点の正しい認識が必要になる。課題は現場に現れるので、必要であれば設計に反映する。これらを大切に開発や人材育成に当たる。5年や10年先を考え、わくわくするテーマに挑戦する姿勢が技術者の成長と競争力につながる。それにはデータの収集も欠かせず、若手を教育する。しっかりデータを集め、技術にどれだけ優位性があるか評価し、失敗してもダメだった理由を深掘りできるようにする」

(2024/5/29 12:00)

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