(2024/7/18 12:00)
Spectee(スペクティ、東京都千代田区、村上建治郎社長)は、人工知能(AI)技術を利用した防災・危機管理サービスを展開している。災害時の対応や事業継続計画(BCP)の観点から導入先を増やしており、ニーズが見込まれる業界の一つが物流だ。配送ルートの把握や配送計画の策定などに活用でき、物流網の寸断リスクに備えられる。
「西日本での豪雨被害をきっかけに、(リスク対応の)意識が高まった」。村上社長は同サービスの必要性をこう指摘する。
自然災害へのリスクなどに対応するため、同サービスは会員制交流サイト(SNS)や気象情報、自動車のプローブデータなどをAIで解析し、社員によるファクトチェックを経て、災害の状況を収集・可視化させる。物流会社が利用する場合、倉庫や配送拠点などを登録しておくと、周辺の状況を把握するのに役立つ。渋滞の発生を確認するのに加え、「事故や火災が発生した場合の対応につなげられる」(村上社長)という。積雪地域に配送する際のルート確保にも生かせる。
物流会社にとって自然災害への備えは経営課題だ。インターネットやテレビの気象情報など災害関連の情報を収集しているものの、人手がかかるのに加え、必要な情報を網羅するのは限界がある。同サービスを導入した物流会社では各拠点を登録し、交通事故や火災などが周辺で発生していないかどうかなどをきめ細かく確認しているという。複数の情報を生かす同サービスを使うことでリアルタイムに現状を把握でき、収集力も高まる。水害が発生した場合には「SNSに投稿された画像や、地形・降水量のデータなどを基に浸水範囲と浸水深も推定できる」(同)。
また同サービスは1月の能登半島地震の際に、被災地への配送ルートを確保するのに効果を発揮した。自動車のプローブデータを活用し、被害が大きい場所でも通れる道路を可視化できた。地震による道路の寸断などで、必要な物資が届きにくくなるケースは少なくない。将来的に南海トラフ地震や首都直下型地震などの発生も懸念されており、住民の支援や被災地の復旧に向けた輸送で同サービスの活用が進みそうだ。
物流会社だけでなく、スーパーマーケットなど店舗を多く展開している小売り事業者から同サービスのニーズも高まっている。災害などの影響を受けにくい配送体制を実現するために導入が進みそうだ。
(2024/7/18 12:00)
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