産業春秋／地震と台風、備える夏に

家具の転倒を防止する「突っ張り棒」を購入した。自宅がある川崎市は、南海トラフ地震の想定震源域ではないが、９日には神奈川県西部で震度５弱の地震があった。人ごとではない。ご近所の防災意識も高まったのか、突っ張り棒品切れの店舗が近所に複数あった。

気象庁が８日に発表した南海トラフ地震の臨時情報（巨大地震注意）。想定震源域は、関東から九州までの計７０７市町村。大規模地震の発生確率が普段より高まり、これら自治体は家具の固定や備蓄などを確認するよう住民に呼びかけた。

この地域では水や食料、カセットコンロ、非常用トイレなどが一時、品薄に。観光地では宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、市町村市の判断で避難所を開設する自治体も。

地震活動や地殻に変化がみられなければ、あす１５日に巨大地震注意の呼びかけが終了する。当面のリスクがこのまま回避されることを願う。

岩手県を横断した台風５号の影響で最大２０００人超が避難を余儀なくされた。台風７号の行方も気がかりだ。自宅近くの多摩川が２０１９年に台風１９号で氾濫し、亡くなった住民がいたのを思い出す。留意すべき自然災害は地震だけではない。「備える」夏になる。