(2024/10/14 05:00)
「今後、法人税率の引き上げも視野に入れた検討が必要である」。2024年度の与党税制改正大綱に盛り込まれた一文だ。「法人税は引き上げの余地がある」。こちらは自民党総裁選での石破茂氏の発言である。
与党が23年12月にまとめた税制改正大綱には「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」とし、法人税を減税したわりに賃金や設備投資が増えず、内部留保が積み上がったと指摘している。
与党としては、賃上げや国内投資に意欲的な企業には減税措置を講じて税負担を軽減する一方、意欲的でない企業は増税となる税体系とし、減税効果を高めることを想定しているようだ。増減税同額の税収中立も視野にある。
年末の与党の税制改正論議で、法人増税は焦点の一つになるのだろうか。自民党総裁選で石破氏と接戦だった高市早苗氏は「需要が供給を超え、物価安定目標に向かう形ができるまで一切増税をすべきではない」と反発していた。
デフレからの完全脱却に向け、25年の春季労使交渉(春闘)でも高水準の賃上げ継続が期待される。法人増税となれば賃上げの流れに水を差しかねず、自民党内の反発も強い。石破カラーはここでも封印か?
(2024/10/14 05:00)