東港金属・千葉工場、「残さ」で固形燃料製造 設備増設、リサイクル率98%目標

(2024/11/20 12:00)

  • 千葉工場に導入したRPFライン

東港金属(東京都大田区、福田隆社長)は、廃プラスチックなどを主原料とした廃棄物固形燃料(RPF)の製造に乗り出した。千葉工場(千葉県富津市)にRPFラインを新たに導入。RPFは石炭やコークスなど化石燃料の代替品として使用される。石炭由来の固形燃料と比べて二酸化炭素(CO2)排出量を約33%削減できる環境配慮型燃料として、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する。

東港金属は原料再生の総合リサイクル企業。千葉工場における産業廃棄物処分で新たに「圧縮固化」処分の許可を取得した。混合廃棄物などに含まれる紙くずや廃プラスチックなどを選別し、圧縮・成形することでRPFを製造する。発生履歴が明らかな産業廃棄物が原料のため、乾燥などの前処理が不要で製造プロセスが容易になるという。同社RPFラインの施設能力は毎時3・01トンで、24時間稼働の場合、1日72・24トン生産できる。

村岡謙一取締役は「顧客にとってのメリットはSDGsへの貢献や環境負荷軽減で、当社のメリットはマテリアルリサイクルの実現や顧客の増加。廃プラや、金属を取り除いた後に出てくる『残さ』と言われるダストをうまく使うことで再資源化率を上げていく」とRPFについて説明する。

  • 千葉工場で製造したRPF。石炭由来の固形燃料と比べてCO2排出量を約33%削減できる

同社は選別工程にも力を入れている。シュレッダーラインから排出される低品位ミックスメタルを微粉砕し、風力選別で金属分を回収できる「USSPライン」を千葉工場に設置。アルミニウムや銅、ステンレスといった金属のより細かい選別が可能な「SSライン」を併設するなど、機械類やOA機器類をはじめとした混合スクラップの選別処理にも対応する。

2022年の京浜島工場(東京都大田区)と千葉工場の資源受け入れ量は11万3441トンで、リサイクル率は94・9%。村岡取締役は「今回のRPFライン導入を契機に、リサイクル率98%を目指す」と意気込む。将来のRPFラインの増設も検討している。

同社はサイクラーズ(同)グループの基幹企業で、1902年に創業した老舗リサイクル事業者だ。村岡取締役は「グループの経営理念である『サーキュラーエコノミー(循環経済)を実現する』を踏まえながらM&A(合併・買収)を続けている」と業容拡大について話す。グループ全体で環境負荷の低減や資源循環型社会への貢献を目指す。

(2024/11/20 12:00)

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