(2024/11/20 17:00)
自由貿易に向けた国際協調路線が揺らいでいる。ブラジル・リオデジャネイロで19日(現地時間)まで2日間開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が閉幕、首脳宣言では保護主義への直接的な懸念表明が見送られた。追加関税の発動を通じた自国産業の保護を唱えるトランプ次期米大統領に対し、過度な刺激を控えようとする関係国の思惑が透ける。サプライチェーン(供給網)の分断を警戒する国際社会で緊張が高まっている。
首脳宣言では国際貿易について「ルールに基づく公正で開かれた多角的貿易体制を確保する必要がある」との表現にとどめた。前回2023年の首脳宣言の「保護主義を阻止」との文言は消えた。
25年1月に米大統領に返り咲くトランプ氏は中国に60%、他国に10―20%の関税を課す方針を示している。主要国は同月以降、トランプ政権との通商交渉などを控えており、良好な関係構築に向けた慎重姿勢が首脳宣言に映し出されたとみられている。
一方、気候変動対策では「多国間主義への強いコミットメントを再確認する」とし、国際枠組み「パリ協定」から再離脱する方針のトランプ氏をけん制した。豊富な再生可能エネルギーやバイオ資源を使って国益増大を狙う議長国ブラジルなどの意向が色濃く出た格好だ。
また、主要国はG20サミットの機会を利用して2国間外交を活発化させた。日本は石破茂首相がスターマー英首相と会談し、外務・経済閣僚の政策協議委員会(経済版2プラス2)新設で合意。カナダのトルドー首相とは、液化天然ガス(LNG)や電気自動車(EV)の産業協力強化で一致した。
石破政権には、主要国との良好な関係を着実に積み上げて国際協調につなげる外交が求められる。
(2024/11/20 17:00)
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