(2024/11/20 17:00)
良質な知財確保 ゲーム・アニメで収益強化
ソニーグループがKADOKAWAの買収に向けた協議を始めた。ソニーGは近年、映画や音楽、ゲーム、アニメーションなど良質な知的財産(IP)の確保に積極的に動いている。買収が成立し、豊富なコンテンツをそろえるKADOKAWAが傘下に入れば、収益性の拡大やグループ内での相乗効果が期待できる。
協議は初期段階とみられ、流動的な要素もある。ソニーGは2021年にKADOKAWAの第三者割当増資を引き受け、同社株を約2%保有している。また、KADOKAWAのゲームソフト子会社であるフロム・ソフトウェアの株式も22年に子会社を通じて約14%取得している。フロム・ソフトウェアは、世界的に大ヒットしたアクションRPG「エルデンリング」やロボットアクションゲーム「アーマード・コアシリーズ」などを制作している。
野村証券の岡崎優リサーチアナリストはリポートで「(買収の動きが)事実とすると、ソニーGが(27年3月期を目標とする)第5次中期計画で掲げたアニメビジネスのグローバル展開やゲームのファーストパーティーソフト(ゲーム機メーカーが販売するソフト)充実といった戦略に即した内容と理解される」と指摘する。
ソニーGは5月の経営方針説明会で、27年3月期までの3年間でM&A(合併・買収)などに1兆8000億円の戦略投資を実施することを表明している。十時裕樹社長は「優良なIP、ライブラリー、音楽カタログなどには常に興味がある。投資とリターンが我々の尺度に合うことを前提として、いろいろな機会を積極的に検討していく」と述べている。
ソニーGでは22年、子会社を通じて米ゲームソフト大手のバンジーを総額37億ドル(当時の為替レートで約5100億円)で買収したほか、21年には米アニメ配信大手のクランチロールを11億7500万ドル(同約1300億円)で傘下に収めるなど、IPを軸に収益を拡大する体制を強化している。
また、11月8日に発表した24年4―9月期連結決算では、ゲーム分野は前年同期比で大幅な増収増益となるなど好業績を維持している。
一方、KADOKAWAはゲームやアニメ、漫画や書籍などのIPを多数所有している。仮にKADOKAWAをソニーGが傘下に収めれば、グループ内での連携をより深めることができ、安定的な収益強化につながる可能性がある。
(2024/11/20 17:00)
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