産業春秋/手形決済60日に、中小賃上げ後押し

(2024/3/14 05:00)

2024年春季労使交渉(春闘)が13日に集中回答日を迎えた。組合の要求を上回る回答や満額回答が大企業で相次ぎ、好スタートを切ることができた。だが事業所の7割を占める中小企業や、全労働者の4割を占める非正規雇用者の賃上げがどこまで進むかは予断を許さない。

中小企業は、賃上げ分を取引価格に上乗せする価格転嫁を円滑に実現できるかが焦点になる。親事業者である大企業は自社の賃上げにとどまらず、価格転嫁にも目配りしてほしい。

中小企業の悩みは価格転嫁だけではないようだ。取引で使う約束手形の決済期間が原則120日間と長く、資金繰りが圧迫されがちな中小企業は賃上げや設備投資に慎重になる傾向があるという。

政府は約束手形の運用を約60年ぶりに見直し、決済期間を60日以内に短縮する。60日超の手形を発行した場合、政府は違反企業を指導する。11月の運用開始を目指している。価格転嫁と同時に、この手形決済も親事業者の順守が求められる。

連合は15日に春闘の1回目の集計結果を公表する。大企業のほか、300人未満の中小組合の賃上げ率も示される。大企業で高水準の伸び率が期待される一方、中小組合の数字が気がかりだ。

(2024/3/14 05:00)

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