産業春秋/日銀の国債減額、財政健全化を促す

(2024/8/1 05:00)

日銀は31日、政策金利の引き上げと国債買い入れ減額を決めた。ここでは後者の国債に注目したい。日銀の買い入れ額が減れば、誰かが減った分を購入しなければ国債を消化できない。国内外を問わず、幅広い投資家に国債保有を促す必要がある。

日銀の国債保有残高(国庫短期証券を除く)は2023年末で581兆円に達し、保有率は約54%になる。銀行と生命保険会社はそれぞれ約13%、海外投資家も13・5%に過ぎず、個人投資家はわずか1・1%にとどまる。

財務省は、国債の償還までの年限を短くし、投資家が購入しやすいよう対策を検討するという。だが、それだけで日本国債の魅力は高まらない。財務省は7月発行の10年物国債の表面利率を1・1%としたが、米国の10年物は4%超。年限を短期化しても金利差は明白だ。

邦銀が引き受けられる国債の額にも限界がある。日銀が保有する国債581兆円の3割程度との試算もある。海外投資家が購入しても、日銀のように保有し続けてくれるとは限らない。

日銀の金融引き締めが、政府に財政健全化を促しているように映る。歳出改革を進め、国債の発行を控えよ、とのメッセージだ。政権は耳を傾けるだろうか。

(2024/8/1 05:00)

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