産業春秋／地方創生のカギは首長のやる気

「地方創生はバラマキでなく、チャレンジする自治体に適切に」―。北海道白糠（しらぬか）町の棚野孝夫町長は日本記者クラブの会見で、政府の交付金のあり方について考えを述べた。

白糠町は２０２３年度のふるさと納税寄付額が全国の自治体で４位。町が主体となり、早くからネット通販で売れる商品づくりに力を注いできたことが、ふるさと納税制度にマッチした。

白糠町は人口戦略会議がまとめた「地方自治体持続可能性分析レポート」で消滅可能性自治体とされる。北海道の自治体の大半が５０年までに消滅可能性と指摘されるが、「北海道の食料自給率は２１７％、畑作地帯の十勝地方は１２１２％。ここが消滅するのか」と異を唱える。日本の食料安全保障をどうするのか。

北海道は明治以来、道外に豊富な資源を供給してきた。それに沿って鉄道網も張り巡らされた。これが人口減で縮小している。供給基地としての役割から道路網の整備は欠かせない。

石破茂首相は第５０回衆院選を「地方創生選挙」と位置付ける。地方創生は、自治体みずからがあるべき姿を考え「首長が“やる”と言うこと」で始まると、全国町村会副会長も務める棚野町長。バラマキでは成らない。