東芝、機械化・DXで物流ソリューション拡充 拡張・荷待ち時間削減

(2024/10/31 12:00)

通信販売の隆盛で電子商取引(EC)の物流が増加する中、トラック運転手の不足も重なり、物流現場の効率化が改めて問われている。東芝は倉庫現場でロボットなどによる機械化に加え、デジタル変革(DX)も同時に進める物流ソリューションの開発・提供に力を入れており、物流の効率化や省人化に貢献していく。

  • ピッキングロボット(奥)と搬送ロボットの効率的な連携も可能に

東芝が開発を進めるのは、物流現場における商品や設置条件に応じて柔軟に対応する「ライトアセット物流ソリューション」。東芝が製造業の現場で培った物流ノウハウから生み出した倉庫運用管理システム(WES)を中核に、搬送ロボット、ピッキングロボットなどを顧客の要望に応じて組み合わせる。

大規模な自動倉庫では稼働までのリードタイムが半年以上かかることもあるが、東芝の方式なら3―6カ月以内に稼働できるという。また、コストも自動倉庫より大幅に抑えることができる。

東芝子会社である東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)のセキュリティ・自動化システム事業部の立川寛技師長は、「物流倉庫をいかに効率化させるかが顧客の課題になっている」と指摘した上で、「フレキシブルであり、その後の拡張も可能なため、容易な導入を実現する」と強調する。

ソリューションの中心となるWESは人とロボットなどの機械、そしてシステムのデータの「見える化」、そのデータを使う「分析」、それに基づいた「最適化」をすることで、刻々と変化する倉庫の状況に合わせて対応する。工程の進捗(しんちょく)把握、変化する倉庫内の作業量を機械学習で予測、出荷バースの割り当ての最適化でトラック運転手の荷待ち時間の削減などの効果を見込める。

  • 物流ソリューションの中核となる倉庫運用管理システム(デモ画面)

また物流ロボットでは、少量多品種でさまざまな形状のモノを素早く確実につかむピッキングロボットシステムを開発。対象物の形状と3次元(3D)情報から、安定してつかめる。また機械学習技術などを用い、ハンドの形状などロボットの身体性を反映することで生産性を高めた。さらに人が作業するエリアに7分程度で設置が可能なため、夜間にロボットがそのまま作業に入るような使い方が期待できる。

このほか映像解析の人工知能(AI)を用いた異常検知による事故防止技術なども組み合わせる。立川技師長は東芝の物流ソリューションについて、「最終的には2030年度までに売上高を100億規模に持っていきたい」と展望する。

(2024/10/31 12:00)

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