産業春秋/変化する「内定式」の位置付け

(2024/10/2 05:00)

1日は多くの企業で2025年度入社の新卒内定式が行われた。人手不足が深刻化し、採用のルールも変わる中、企業は満足のいく採用ができただろうか。

文部科学、厚生労働、経済産業の3省合意により、今回の内定者からインターンシップ(就業体験)が採用に直結する形となった。大学3年次2月末までにインターンシップに参加した学生の情報を、企業は3月以降の広報活動、4年次6月以降の選考に利用できるようになった。

企業としては、学生の資質を早い時期から見極められる機会となった。だが採用担当の負担は増し、対応しきれない企業もある。学生の間では、インターンシップをいくつ受けたかが就職活動の指標となったようだ。

学生の気質も変化している。転職が一般化した状況で、就職する企業で勤め上げる意識は薄れ、最初からキャリア形成のステップと考える傾向が強まっている。採用がうまくいった企業も、これで安心とはならない。

政府は人材の流動化を促している。新卒を育成し、その積み上げで成長を図る時代ではなくなってきた。26年度入社の採用活動はすでに始まっている。内定式の位置付けも、これから変わっていくのではないか。

(2024/10/2 05:00)

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