IoTソリューション

(2020/10/10 05:00)

業界展望台

IoT(モノのインターネット)は全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報、デジタルデータを共有し、新しい価値を生み出す。政府が提唱する「ソサエティー5.0」で実現する社会に欠かせないデジタル技術の一つだ。新型コロナウイルス感染症のリスク低減から社会生活が変化し、テレワークやオンライン診療などデジタル化が加速している。生産や業務の効率化、サービス向上、技術革新に欠かせないIoTの普及が期待される。

生産効率化、技術革新へ

IoTは工場自動化(FA)や蓄電池のエネルギー管理、冷蔵庫などのスマート家電として、生産現場や流通、住宅、公共スペースで活用されている。機器や装置が通信ネットワークを介して、データを送受信して機器間でつながっている。パソコンやスマートフォンを通じて、視認や制御もできる。

製造現場では生産活動の可視化、予測、スピードアップ、全体の最適化による生産効率や品質の向上、コスト低減と収益向上、機器や装置の予知保全などに期待されている。

総務省の2020年情報通信白書では新型コロナ収束後の社会に向けて、IoTはこれまで以上に重要になると捉え、データの最大活用とオンライン化による企業の活動が新しい価値を生み出すとしている。同時に、サイバー攻撃に対するセキュリティー確保を求めている。

IoTではセンサーやデバイス、モジュールがデータを検知・取得し、そのデータをリアルタイムにクラウドやデータアクイジション、ロガーといった装置に収録する。そのデータを収集・分析する。IoTのアプリケーションはデータ蓄積型では家電や車、機械設備などにおいてデータ収集、可視化、モニタリング、警告などに生かされている。

調査会社のIDCジャパンは国内IoT市場の支出額を24年に19年比76.6%増の12兆6363億円と予測する。19~24年の年間平均成長率は12.1%だ。19年時点でのIoT市場は、組み立て製造、プロセス製造、官公庁、公共/公益、小売、運輸がけん引している。24年にはスマート家電やスマートホームが、大きな市場に成長すると見込んでいる。また、農業監視や病院、スマートグリッド/メーター、電気自動車(EV)の充電設備管理、テレマティクス保険なども19~24年で年間平均成長率が20%前後で伸長すると見込んでいる。

IoTは「いつでもどこでも」「ネットワークにつながること」の価値に期待が寄せられる。ただし構成要素が膨大でシステム構築は多岐にわたる専門知識が要求される。またIoTで何をどうしたいのかという、IoT導入の入り口で立ち止まってしまう。こうした中、複雑に捉えがちになるIoTの課題に応え、新しいビジネスチャンスとらえる動きが出ている。

IoTや人工知能(AI)導入支援を行う金沢エンジニアリングシステムズは、産業機器や主要メーカーの通信プロトコルをサポートしたIoTゲートウエーに注力。FAの専門知識やノウハウがなくとも産業機器や現場とクラウドとを手軽に接続できる 

マグネスケールはより使いやすい計測機器、高精度高速なスケールを追求し事業を展開している。視認性と操作性に優れたヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)機能を搭載したタッチパネルモニター、拡張性の高い多軸計測モジュールで組まれる測定ユニットに、オープンネットワークの対応を図りIoT市場を狙う。

監視カメラを主軸とする日本防犯システムは、中小企業や流通業界向けにファイアウオール(防御壁)やウイルス・スパム(迷惑メール)対策セキュリティー機能などを持たせた統合脅威管理(UTM)機器の販売に乗り出す。IoT導入時のセキュリティー確保に貢献する。

ケー・ティー・システムは安価にIoTを始めたいユーザーに向けて、取得するデータの価値の模索や簡単な見える化が構築できるスターターキットなどを提供している。実際に受講者が手を動かしてIoTアプリの構築を行うセミナーも行っている。

IoTは生産や業務の効率化、サービス向上、高付加価値化、新規市場創出など、IoTの重要性が高まっている。

(2020/10/10 05:00)

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